Archive for the ‘日本訪問’ Category
大晦日

今年は日本との行き来が多い年だった。
そして毎回来る度に、関わっているプロジェクトが少しずつ違うのも特徴。という事で今日は新宿でキカイさんと来年フィラデルフィアで行われるイベントの打ち合わせ。年末の新宿は沢山の人混みで、その中を歩いていった喫茶店で話しをする。
今回は新しい試みとして、ONWARD Compéの審査員を行ったTodd Hidoとキカイさんを招いて、ONWARD Summitというイベントを2月に行う。そのイベントの準備を2ヶ月位前から行ってきた。レクチャーとネットワーキングを兼ねたイベントで場所なども借りて、少し規模を大きくしたイベントである。丁度フィラデルフィア美術館で来月の半ばから行われるZoe Straussの展示についても、彼女とキュレーターのPeterと一緒にプレゼンターとして参加してくれるという事で、地元の話題もカバーしてバランスがとれたものになりそうだ。
アメリカを発つ前も,先日行われるプライベートパーティーを開いてくれる家での打ち合わせをしてきた。スタジオでクラスをとってくれた人で、町の中にあるモダンな家を開放して協力をしれくれるとの事。料理の事やそこで行われる小さな展示についての細かい事を話す。
このようなサポーターや今まで話しを続けてきた便利堂などもできる範囲でサポートしてくれるという事で,いろんな人ととの繋がりで形になっていく。
イベントまで後一ヶ月である。
東北へ

Kesen-numa
夜行のバスで仙台に向かう。
日本では電車で動く当たり前の様な気がしていたが、今回は時間をうまく利用する為にバスでの移動。朝の5時半には仙台に着く予定である。
今回はタニさんと友達に紹介をしてもらった人をツテに三陸から東松島まで震災の様子を見てこようと思いこのような旅にでる。
今回の震災で誰もが考えた事であろうが、この二ヶ月自分がどんな事ができるのかという事を考えた。今回の地震が起こる2日前にアメリカに帰り、地震が起こってからアメリカから報道を通して様子を追ってきた。その間実際に日本に来る事も考えたし、フィラデルフィアから何らかの形で何かできないかという事を考えた。ただ事情も分からずに、報道からの情報だけを頼りにして考えを巡らせてもしょうがないと思い、実際に現場を見てどんな事ができるのかという事を探ってみようと思っていた。
来る飛行機の中で隣りにいた日本人の人と話をした。会社を3週間ほど休んでボランティアとして被災地に入る事を考えているようであった。NYででも友達と協力をしてチャリティーのイベントに携わってきたようで、今回も被災地でビデオを撮影しある種のドキュメンタリーを作れないかと考えているようだ。いろんな思いがあるのだなと考えさせられた。
実際2週間前ほどにNYにいる友達に電話をした時には彼女は義援金を募る作業がNYの日本人のコミュニティーでは頻繁にある事を話していた。さすがにそこまでフィラデルフィアでは日本人の人数が少ないためか,そこまで頻繁には行われていない。
アメリカのメディアでは日本の事は一面には報道されなくなってきている。日本のメディアのほうは、お決まりの型にはまるニュース以外は被災地のニュースは減ってきて原発のニュースが中心である。何かもっと違う視点から伝えるとこができないのかと思っている。
何ができるか分からないがとにかく実際に見てみよう。
界隈

昔通っていた釣具屋
日本に着いて早速、2-3日外を出回る。さすがに時差ぼけがすごく夕方になってくると無性に眠くなってしまう。
今日はゆっくりと朝から来年の予定を立てる為いろいろな人とやり取りをする。スポンサーから雑誌社と写真関係の人達から、これから進行させたいプロジェクトの為にも人と会う。どんなにインターネットなどで繋がっていても、実際に会って話しができるのは,はかどるスピードが違う。朝に4件の予定を取りまとめる。
その後近くの駅までお昼を食べにいく。昔よく通っていた商店街や途中で覚えている友達の家などを確認しながら15分位の散歩。この駅はうちから距離的には近いのだが、普段は全くといって使わない。3年前に始めて来た時は駅前も再開発され昔の感じががらりと変わっているという印象しかなかった。
そのなか駅前の商店街を歩いていくと昔からあったペットショップや八百屋さんなど昔と変わっていない所を沢山見つける。八百屋さんなどの狭い場所にごちゃごちゃと並んでいるの見ると何とも懐かしく,心地がいい。こんな所をもう少し時間をかけて写真を撮れないかと思う位である。この様な湿気を含む風景が懐かしいのであろうか。
最後に写真を撮ったのは昔通っていた釣り道具屋さん。今は店が閉まっているのだろう、外見は昔と変わっていない様子であった。一瞬過去に戻った様な錯覚を覚える。
移動中

スタジオのデッキからの夕焼け
毎回思う事だが東京での移動はとても時間がかかる。毎日家からでてバスで最寄りの駅まで行き,そこから地下鉄に乗って目的の場所に向かっている。大体東京の西に行く機会が多いので,東の外れにある家から大体一時間ほどかかってしまう。
もちろんどうしようもないことで,日本に住んでいた時はこのように時間が過ぎていくことに慣れていたのだろう。ただフィラデルフィアのように小さな町に住んでいると,この時間が少し無駄に感じる時が正直ある。前回帰国した時に一緒に町を歩いていた人に,「東京は広くて狭いですね」と言った事があった。「広さ」は移動にかかる時間であり,「狭さ」はたどり着いた場所に入った時に感じることである。フィラデルフィアでの感覚とは正反対である。
ただ今回の滞在はこの移動がとても楽しくてしょうがない。移動中にNPR(公共ラジオ局)の番組の「Radio Lab」をPodcastで延々と聞いている。訳すとラジオ実験室とでもいうのだろうか。番組の内容がとても面白く、科学者や心理学者などと話して人間の心理的、身体的そして環境までを含む置かれている状況 (human condition)を探る番組である。例えば人間が数字をどうの様に理解しているか、睡眠について、限界、嘘、時間、記憶や忘れるという事についてなど様々なテーマで番組が組まれている。学者、作家、アーティスト,又は珍しい経験をした人達とのインタビューを通して、テーマを科学的そして心理学的な裏付け探して行くプログラムである。
一つ約一時間の番組なのだが、あまりにも話しにのめり込んでいて、聞き終わらせる為に目的地に着く時間を延ばしたいほどである。そして内容が濃いため聞き流しができず集中する時間が必要でもある。フィラデルフィアで普段からも聞いているが、このように作業をせずまとまった時間がない為ここまで大量に聞くことができない。こんなラジオ番組を聞くには,東京で移動する時間がとてもあっている。今回行きの飛行機に乗っている時から集中して聞いているが、すでに30以上の放送を聞いてきた。
高校の時に朝と深夜のラジオ番組を聞いていた。そのラジオを聞いて世界の事を覗いていた様な気がしてしょうがなかった。そんなラジオ番組をまた見つけた事がとてもうれしい。
物を作るスピード
日本に着き、久保さんとのデジタルネガとプラチナプリントのワークショップを無事に終わらせた後、今月の頭にフィラデルフィアに訪れてくれたユーコさんと鎌倉に写真を撮りにいく。前回鎌倉に来たのは15年前位の話しである。
とても天気がよく、12月とは思えない陽気であった。鎌倉には何度も訪れた事があるが、江ノ島には行った事がないと思い、今回訪れてみる。小さな島の中を8×10のカメラと三脚をゴロゴロと引き、岩場で釣りをしている人や何気ない風景を数枚撮影する。
何を求めている訳でもないが、ただ何となくいいかなという物を写真として撮っていく。こんな陽気で海のそばで写真を撮っているのは気分がいい。これほどのんびり撮影する機会はないが、自分にとって撮影やプリントはセラピーのようなものである。来年こそはこのような時間をフィラデルフィアにいてももっと作る努力をしたい。
その後鎌倉の路地を歩いていくと鎌倉彫を売っている小さなお店を見つけた。とてもこじんまりとしているが、家の作りに引かれ、ちょっと入ってみる。そこでは亡くなった旦那さんが作った物を中心にして売っている小さな商いで、今年は不況という事で全く売れていない様な事をおばさんに聞く。
日本の地方を訪ねる時はこの様な工芸店を見つけては寄る。珠洲に行った時には珠洲焼きを、輪島に行く時は輪島塗を少ないながらも買ってきている。高価で工芸品という様な誇らしい物を買うのではなく、素朴で自分の感性に合った物を探すだけである。そして基本的には実際にアメリカでの日常で使える物しか買わないことにしている。
一見簡単そうでな作業だがじつはなかなか気に入った物が見つからない。そして出来上がって買った時の仕上がりなどに満足するというよりは、使っていくうちの過程で起こる変化に興味があり、1−2年後の表面のてかりや様子を想像するのが実は楽しい。
実際にうちには珠洲焼きの湯のみがいくつかあるが、今年買ってきた物と去年買ってきた物では個人的に使う頻度が違う。大勢の人などにお茶を出す時はそこまで構っていられないし、それほど意識してる訳ではないのだが、新しい物のてかりに「小さな照れ」みたいな物を感じ、長く使っている湯のみに手が出る。
このような工芸品を作っていくにはとても時間がかかり、生産性や経済性という点でなかなかバランスがとれるものではない。僕は自分のプリントを積極的に売っている訳ではないが、実際に手作りでプリントなんかをしているとそんな事を常に感じる。だからこそ、このような物を見ると安い買い物をした様な気がしてしょうがない。
以下のビデオは友達が送ってきてくれた物であるが、本を印刷から製本まで作り上げてく様子である。早送りすると6分も満たないが、実際にかかった時間がどれ位なのかとついつい考えてしまう。この辺の住み分けがうまくできないのかと常に考えている。
移動中

Sketchupで書いたスタジオの様子
今年はこれで6回目になるが、この12時間の飛行時間にはなかなか慣れない。なるたけ仕事を持ち込んで忙しくしている。
フィラデルフィアからは東京への直通の便がないため、乗り継ぎが必要になる。大体ミネアポリスかデトロイトで乗り継ぎをするのだが、その中継地点では必ずスタジオとのやり取りをする。スカイプ越しに最終的な確認と、僕の移動中待てない質問のやり取りなどをAnneとしていく。来年には僕が使っているデルタ航空の国内線にはWiFiが完備されるとの事。そうすればもう少しコミュニケーションが環境がよくなりそうだ。
国際線の飛行機に乗ってからは、スタジオのスペースのデザインを始める。最近ダウンロードしたSketchupという3Dのソフトを使い、改修されていない残りのスペースを描いていく。大体の寸法などを決めていき、どのように残りのスペースを有効に使っていくかを考える作業である。
このビルには大体35坪位のスペースに一階と二階と手がつけられずに残っているだが、今までは工具や機材そして建築用の資材で埋まっていた。そこにテンポラリーにでもこの春までにコンピュータールームを作れないかという事を考え始めた。今はギャラリーとコンピューターがある教室が兼ね合っているが、イベントの度にこのセットアップをたたむ必要がありなかなか大変な作業である。そしてこのコンピューターの部屋を分ける事によって、二つのクラスが同時進行する事も可能になる。そこで今月の頭にAlが中心となりボランティア4−5人に手伝ってもらい2日かけ完全に整理した。
そこにちょうどギャラリーのスペースがきれいになるのを見計らった様に、いつも大工仕事を手伝いをしてくれるMargeの都合がとれて、フィラデルフィア来ることになる。元々は違う所の作業をしてもらおうと思っていたが、新しいスペースを作る方に興味を示し、工事を始める。実際に発つ翌日まで彼女と工事の作業を進めていた。僕がフィラデルフィアを発ってからも滞在し自分でできる作業を進めている。日本に着いてからもSketchupで作った物を設計図として彼女とのやり取りに使い、お互いの考えている事を細かい所まで確認できる。
12時間後成田について早速便利堂の鈴木さんと東京駅で落ち合う約束をする。鈴木さんは今日まで東京で出張で、今夜京都に帰るという事で、この日と見計らって会う約束をしていた。9月にロビンと工房を訪れて以来の再会である、東京駅の構内の中華料理やで今までの進展の話しを聞く。いろいろな計画があるが、前回携わったデジネガの導入と、Library of Congressに所蔵されているプリントの複製を作るプロジェクトが話しの中心である。そして来月の半ばにはまた京都に訪れる事を約束。また楽しい滞在になりそうだ。
東京の実家に着いた頃にはフィラデルフィアのスタジオを出てきてから24時間が過ぎていた。

違う側面からのビュー
立て続きのイベント

ミーティングに参加するボランティア達
先月の半ば法事の為に一度帰国し、帰ってきてからはイベントが立て続けで、忙しい日が続いた。休む日もなくこのまま今週また日本に帰ることになりそうだ。
日本から帰ってきた次の週にはhome schoolの子供を対象としたピンホールワークショップを行う。一ヶ月位前から手伝い始めたGrishaと一緒に準備をした物で、実際にカメラを作ってもらい、そして撮影するという物である。このようなワークショップは初めてなので実際にどうなるかと思ったが、子供達も参加した親もとても気に入ってくれた。
そしてその次の週にはDebbie Fleming Cafferyを迎えONWARDの審査、レクチャー、そしてワークショップを行う。レクチャーの方はワークショップに参加する人やフィラデルフィアの写真関係の人が集まり、ギャラリーが人で一杯になる。AndreaやPhotoReviewのStephenも来てくれて、なかなかの顔ぶれであった。その後スタッフやFriends of Project Bashoメンバーの人をアパートに誘い、Debbieと夕食パーティー。この様に写真を通して人が集まってくれるのはいつになってもうれしい。
その数日前にDebbieが審査したONWARDは、毎年応募される作品の質が上がっていっているのがよく分かる。今年で3年目、去年と同じ位の参加者が集まった。毎回審査する人によって趣が変わるのが当たり前なのだが、今回の特徴としては全体的に少ない人数だが、選ばれた人は一点だけではなく数点選ばれている人が沢山いる。結果から言うと、「作品」という事を意識しているものが選ばれた。発表は来週、そして2月から始まるショーはとても楽しみである。
そして今週はFundraising Print Sale&Silent Auctionを行う。毎年行っているイベントで寄付されたプリントを売り、その資金で新しいプロジェクトのを立ち上げる物である。一ヶ月以上前から準備していたイベントだったが、イベント立て続けに行われたからか、思う様には人が集まらなかった。それでもプリントを買ってくれる人や、自分のプラチナプリントを買ってくれる人達が少ないながらもいた。このような人達がこのスタジオを支えていると実感させられる。
そしてボランティア達の自主的に活動をし始めたようで、最初のミーティングに顔を出す。Grishaが提案した物で、2週間に一回集まり、自分たちの作品を見せ合ったり、自分たちの知っている知識を分け合う場を設ける予定だ。いつもボランティアの人達にはスタジオを利用して欲しいと思っているが、なかなかそこまで自主的にやろうという動きがなかった為、興味を持って見ている。もちろん僕が教えることができるものもあるし、このような自主的に始まった草の根的な活動がどのように発展していくかがとても楽しみである。
今週は日本に帰り、久保さんとのデジタルネガとプラチナプリントのワークショップ。先月帰国した時に立ち上げたサイトを通して人が集まってきているようで、なによりである。今回の滞在中にはこの日本でのプロジェクトをいかに長く続けていくかという事をある程度の形にする予定。
今は温泉でゆっくりして、写真でも撮りたい。8×10のフィルムはとにかく沢山もって行こうと思っている。

ピンホール・ワークショップに参加した子供達



