独立記念日にKallitypeを作る

露光後のKallitypeプリント
今日は独立記念日という事でスタジオは休み。この様に祝日には暗室を自分だけで使うことができるので暗室作業をしようと心がけている。大学の時に食べ物やお茶まで用意して、夜学校に忍び込み2−3日間一人でプリントをしていたのを思い出す。
久しぶりにkallitypeを作ってみる。kallitypeはほとんど名前が知られていないが、プラチナやサイアノタイプなどと一緒のiron系のプロセスである。その中でも銀をメタルとして使うので比較的知られているVandykeとは同じ部類に入る。トーンの幅などはプラチナと全く一緒で、プラチナなどでトーニングされていると実際にプラチナプリントなどとは見分けがつかないらしい。昔に”Poor man’s platinum prints”と言われていたのもこの辺りからだろう。
metalはプラチナの変わりにsilver nitrateを使い、ferric oxalateを同量混ぜ感光液をつくる。現像液を使うDOP (VandykeはPOP)である為、黒の締まりなどもかなり得ることができ、こういう点でもプラチナに似ている。そしてプラチナでは全く選択肢がないがKallitypeは調色ができ、いくつかのトーナーでプリントの色を変えることとができるのが始めた理由であった。
7×17のカメラを買ったころにkallitypeのプリントを試し始めた。ちょうどその頃はパイロ現像液も使い始めたころで、ネガの調子などのことが分かっていなく、コントラストばらつきがあるプリントしかできなかった。そして選んだ紙に問題があり薬品が抜けないという事が解決しなかった。その後プラチナを始めて薬品がどのように働いているか理解したので、プラチナの問題解決ができればKallitypeの問題解決もできるはずである。
今回の紙はプラチナでもよく使うArchesのPlatineで、紙の相性の問題はないだろう。前回はSandy Kingがサイトで紹介しているStonehengeという版画の紙を使ったが、どうも相性が合わなく、薬品が抜けないという問題が解消しなかった。プラチナに使える紙であれば問題なく使えるはずだ。
写真を見てくれると分かるが、このプロセスをしていると各過程で色の変化が見れるのがとても楽しい。最初に露光したプリントを見ると蛍光黄色の感光材の中にうっすらと茶色の像が浮き上がってくる。周りは完全に茶色のボーダーができていて一見不釣り合いに見えるが、よく見てみるととてもきれいなものがある。現像液に入れると一瞬にして茶色になり、この茶色も少し外れた色だが見ていて楽しい。今回はパラジウムでトーニングをしているが、トーニングが進むに連れて茶色い色が抜けていき少し暖かさが残ったニュートラルな色になっていく。
今回プリントしたのは8×10のポートレートが2枚、そして7×17で撮った風景の写真。Olgaを部屋のこぼれ日の下で撮ったものと先週一緒に撮影に行ったJeriをクリスマスツリー畑で撮ったものだ。その時にSouth Jerseyにある湿地帯が広がっている所で撮影した7×17の風景もプリントをしてみる。
特に複雑なプロセスではないが、最初にやるプロセスとしては結構手順が多いので難しいと感じられると思う。手順が増え、薬品が増えるとどうしてもcontaminationの可能性が高くなる。プラチナなどの比較的簡単なプロセスを試し、要領を得てから挑戦するとよいかもしれない。
この夏は手伝いにきているインターンとこのプロセスでプリントを沢山作りたい。

Outreach Programのサイトの準備
週末に一つサイトの準備をする。
先月から少しずつ用意をしているOutreach Program用のサイトである。このプログラムを通じて地域の子供達に無料で写真を教えるという試みである。前々からやりたいと思っていたがなかなか準備ができずここまできてしまった。さすがにこのようなことをするにはもっと人も必要になるのでここまで手が着かなかったこともある。
アメリカではこのように写真を無料で教えている団体が各地にあり、地域の住民達のアート教育に貢献している。もちろんアートなどというものにはかけ離れている所でもこのような試みが行われている。子供達に放課後の活動に参加をさせて問題に引き込まれない様にするというのも大きな狙いであろう。
サイトを用意するといってもこの辺は全てWordpressというブログのソフトを使い、デザインなどは既にある物を流用しているので、要領さえ分かっていればそんなに時間がかかるものでもない。ただどうしても既にあるテンプレートなどを使うとどうしても手が届かない所が実際に出てきて、その辺りを変更していくのがとても時間がかかる。実際にどのように作られているかという仕組みを理解した上で、色やフォントなど細かい所を変えていく。
そして何より時間がかかるのは文章である。一番最初に今回このようなプログラムを始めた経緯を書いたのだが、実際に自分が言いたい事を明確書くのに何度も書き直しをする。文を書く時は主なアイデアはなるだけ自分で文章にして、ある程度できたらクリスタに見てもらう。言い回しや表現など、どうしてもネイティブの人に見てもらう必要がある。そして大体の言いたい事が伝わっているかどうかを確認して、もう一度文章を書き直す。全てを書き直す訳でもないが、一度書いた文章を書き直すのは今でもつらい。この様に何回か行き来をし文章ができていく。
大学で何を学んだかと聞かれたら僕は文を明確に書く事を学んだと口癖の様に言う。自分で分かる様に書く努力をすると、自分がいかに分かっていないのかという事が明らかになる。自分の考えを一つ一つなでる様に書くのは自分の考えをまとめるという事でもいい勉強になると思う。文章を書く時はいかに明確に、そして相手に分かりやすい様にというのが頭から離れられない。
Tedで見たベネゼーラでクラシック音楽を教えているプログラムがとても印象に残っている。今まで、時間がないと思っていた事だが、今やらなかったらいつやるのかという思う様になった。今回もボランティアを募ってのプログラムである。教える人から、後ろで環境を整える人まですべてがボランティア。7月の頭から始まり、早速カメラやフィルムの調達を来週からしなければならない。後一ヶ月でこのプロジェクトもある程度の形になっているのだろう。
NYでの再会
美香さんが帰った後、2週間も経たないうちにクボさんがNYに訪れる。
今回はいろいろと東北部にある美術館巡りプリントを見るのが大きな目的である。今週はフィラデルフィア美術館,来週はRochesterまで出向き、George Eastman Houseなどを巡る予定。時間があれば途中の町にあるシラキュースにあるLight Workなどにも寄りたいと考えている。最後の週はDCに行きLibrary of CongressとNational Archivesでキュレーターがプリントを見せることになっている。大体の段取りなどはとってあり、後は細かい所を調整していくだけである。今回は運良くキュレーターなどとの予定も合い、ほとんどのやろうとしていた予定がこなせそうである。
その中でAndrea Modicaのオープニングがあったり,彼女のプリント作業風景などを見に行ったり、前回久保さんが気に入った地元の写真家Richard Kaganにもインタビューの為にスタジオに訪れるなど、こちらの人達との交流も混ぜている。Andreaのオープニングの後、彼女のアパートで行われる小さなパーティーによばれていて、Gallery 339のオーナーのMartinも来るようである。前回菅原さんがMartinに見せたプリントを作ったプリンターとして久保さんを紹介できる。
今回このように動き回っているのも,久保さんと一緒に始めようとしているサイトの為である。オルタナビトという名前のサイトで日本語で写真のプロセスの情報を発信していこうというのが目的である。実際に歴史的なプリントを見たり実際に活動している作家と会ったりとプリントとプロセスにまつわる話題を二人で紹介していく予定である。前回見て回った物もあるが今回は美術館の裏側に入って歴史的に貴重な写真を見せてもらえるので、紹介する価値があるのではないかと思う。このサイトを通して昔に使われていたプロセスなどが今の作家作品などを通して、日本の人にも身近に感じてもらえる様になればと思っている。
後は今週末の行うRon ReederのデジタルネガのワークショップやMark Ostermanとのプライベートレッスン、そして二人で実際にプリントなどを作ることも予定に入れている。プラチナやガム、そしてWet Collodionなどで一緒にプリントを作りいろいろ試してみようという物である。昨日は画材屋さんに紙を買いにいったりと少しずつ準備している。うまく行けば作業様子のビデオなどを撮れないかとも考えている。
今回も盛りだくさんの滞在になりそうだ。
World Wide Wet Plate Dayとティンタイプ撮影
今日は朝からティンタイプで写真を撮る。
5月2日はWorld Wide Wet Plate Dayで,世界各地でcollodion processを使って写真をとろうというイベントである。ウェットプレートのワークショップを教えてに来たKerikがこのイベントについて話していたのを思い出し、サイトを見つけ出したのが昨日であった。急ではあるがこれはと思い,ワークショップの薬品の残りを使い,いくつかのイメージを撮ってみる。
朝から小雨が降っている。スタジオから見える風景を教会を混ぜ撮る事にする。Gustave Le Greyの様なドラマチックな雲ではないが,空の雲の質感を残して撮りたかったので,露出を切る詰めながら撮影をしていった。コントラストが高いためどちらかと言ったら空に露出を合わせ,教会の方をアンダーにして,バランスをとるようにする。
教会を中心にして空の割合を増やし構図を決める。この構図で7−8枚露出をかえ撮影した。露出計を使っている訳ではないので,何回もかかったが最終的には気に入った物が撮れる。
撮影中に思ったのだがグラデーションのあるNDフィルターなどを使えば役に立つのではないか?この方法はblue sensitiveなwet plateで空と組み合わせて撮る時にいい方法かもしれない。そして興味があるのは他のフィルターなどを使ったらどうなるのだろうか?この辺は次回にでも試してみよう。
もう一つのカットは折り紙を撮る事にする。前に白い紙で鶴を作り,白いバックで撮影したことがあった。その時はプラリナプリントを作る為の撮影だったが今回は同じ鶴を黒いバックで撮る。湿版はあまりハイライトの描写が得意でない様に思う。
スタジオで蛍光灯のライトを使い簡単なセットを作る。前回ワークショップで使った時は15秒位の露出であったが,今回はジャバラも相当伸びているので3ストップ位多めに露光してみると結構いい具合に写っている。それから鶴の向きを少しづつ変えながら何枚か撮ると気に入った物が出来上がった。
一日中暗室とカメラを何回も往復した。夕方に友達からバーへの誘いの電話がかかって来た時には両手の指が真っ黒になっていた。
Project Basho撮影旅行と夏のワークショップ
やっとの事で今年の撮影旅行の予定を発表した。
7月には南フランスのLe Bez、そして目玉のAndrea Modicaが同行する金沢/能登の旅行は9月に去年と同じ日程で。そして10月にはアメリカ南西部のFour Cornersの砂漠を回る旅行を企画している。
僕が実際に担当する旅行は日本の物で、残りはスタジオでカーボンなどを教えているKevinが担当することになっている。そもそもこの旅行の計画もKevinが持ちかけて来た話しで、それに合わせ金沢の旅行の下見などをし始めた。今年の5月に計画していた九州の旅行は来年に持ち越す事にして,最終的には去年と同じ物だけで組んだ。時間的に余裕がなかったのとアメリカの経済の状況を考えた結果である。九州の旅行はもう少し詰めて来年の5月に組みたいと考えている。もう少し写真をやっている人達の間でこの旅行の事をが広まるのを待ちたい。
その作業が終わり次第夏のクラスのスケジュールに取り組む。Kevinと一緒に教える人の予定やスタジオでのイベントなどをうまく調整していく。全てを手作業でやる為、毎回の事であるが時間のかかる作業である。教える人が増える一方で、調整する事が増えていく。この辺りをもう少しうまくクリアーできる様にしたい物だ。
今回はNYで会った人を二人位誘ってワークショップを組んでいる。一人はEugene ForsterでICPで教えている人だ。インディアナにいるかナカガワさんと通して知る様になった一人である。ICPのデジタルのクラスをかなり最初から作り上げて来た人で、数ヶ月前にたまたまICPでクラスをとっていた時に偶然顔を会わす。もちろんデジタルの事は詳しいのと,自分の作品に写真とテキストを組み合わす事をしているので,それを教えられないかという話しで,二つのワークショップを組んでみる。Lightroomの使い方をカバーするものと、生徒の写真と文字を実際に組み合わせて新しい表現の可能性を探るという物である。
二人目はVincent Cianni。彼とは5年位前にスタジオを訪ねたのがきっかけで知る様になった。毎年AIPADで顔を会わす様な感じで,今年もバッタリと会場で出くわす。前からうちでワークショップをやりたいと言ってたので,今回は絶対実現しようと,その後2週間位お互いにアイデアを交わす。彼の作品は力強いドキュメンタリーの写真でストーリー性を主にしている。ドキュメンタリーのワークショップもいいかと考えたが,最終的には写真や文章を使い、いかにストーリーを伝えるかというワークショップを行う事にした。実際にPower Pointなどを使い発表するというのを目的に行う楽しいワークショップになりそうだ。
そして来月来ることになっている久保さんのワークショップの詳細も載せる。前回少しではあったが久保さんが教えるという企画を念頭にスタジオに来る人との接点を作ってみた。久保さんが今までやって来たプリンターとしての目みたいな物をシェアーできる様なワークショップを行いたいと思っていたので,今回試しに行ってみることにした。人が興味を持ってくれるとうれしい。
スケジュールが組まれたので後はマーケティングである。旅行のDMを作ったりクラスのリストを小冊子の印刷物にしてマーケティングの中心にしてみようと思う。今まではウェッブだけの物が中心であったが,今回からは「手に持てる物を作る」という事を考え始めた。今学期は景気が悪いにも関わらずいい感じで生徒が集まったので、なんとかこの調子でいって欲しい物である。










