フィラデルフィア写真紀行

写真センターの運営や作家活動から、アメリカの写真事情や文化の違いまで…

Ron Reederのデジタルネガのワークショップを終えて

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RonとDCから訪れた参加者。

5月の終わりにRon Reederをシアトルからよんでデジタルネガを作るワークショップを行った。

この近辺でこのようなワークショップを積極的に行っている所があまりないので、ある程度人が集まるかと思ったのもあるが、実際のとこを自分自身が学んでみたかったというのが大きな動機であった。デジタルとアナログをつなぐ大きなポイントかと前々から分かっていたが、なかなか始めることができずここまで来た。ワークショップもかなり人が集まってくれて、日本からはクボさんがそして最後に飛び入りでマルヤマさんのアシスタントの北村君も参加して8人も集まった。

実際にワークショップでネガを作ってみるとどうしてもプロファイルを作るのに時間がかかり、参加者の人は少しまいっていた様な感じであったが、一度プロファイルができるとプリントがどんどん出てくる。露光時間も一緒でコントラストの調整も一定である。今までプリントの時点でテストプリントを重ねて時間をかけていたのが何かと思うほどである。

もちろんネガの調子や多い焼きなど手を加えられるという事の他にも、もう一つの利点として、僕の様にいろいろなフォーマットで写真を撮っている人には後でサイズを変えることがある。よくある事にあの時あのサイズで撮っておけばよかったと思う時が度々ある。最初から比較的小さなフォーマットで撮り後でサイズを変え8×10などに変えるのも方法の一つかと思う。

今まで何度かデジタルネガのプリントを見て来たが、一番きれいであったのがKerikのプリントでQTRを使った物であった。キャノンのカメラで撮ったものをそのままネガで出力していて、プラチナやガムオーバーでプリントを作っていた物だった。Epsonの3800でプリントしていたものだ。

今回のワークショップでは細かい所までの調整はしなかったが、ワークショップの説明を聞きながら何が重要な点かという事を学んだ。実際にオルタナティブをやっている人にはかなり利用されているので、すぐにでも作り始めたい。実際プリントをしたいがネガの状態が良くない物が沢山ある。後は実際にネガを作ってみる過程でいろいろな事を学ぶのだろう。

クボさんはカーボンワークショップに続いて今年二回目の参加。

クボさんはカーボンワークショップに続いて今年二回目の参加。

独立記念日にKallitypeを作る

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露光後のKallitypeプリント

今日は独立記念日という事でスタジオは休み。この様に祝日には暗室を自分だけで使うことができるので暗室作業をしようと心がけている。大学の時に食べ物やお茶まで用意して、夜学校に忍び込み2−3日間一人でプリントをしていたのを思い出す。

久しぶりにkallitypeを作ってみる。kallitypeはほとんど名前が知られていないが、プラチナやサイアノタイプなどと一緒のiron系のプロセスである。その中でも銀をメタルとして使うので比較的知られているVandykeとは同じ部類に入る。トーンの幅などはプラチナと全く一緒で、プラチナなどでトーニングされていると実際にプラチナプリントなどとは見分けがつかないらしい。昔に”Poor man’s platinum prints”と言われていたのもこの辺りからだろう。

metalはプラチナの変わりにsilver nitrateを使い、ferric oxalateを同量混ぜ感光液をつくる。現像液を使うDOP (VandykeはPOP)である為、黒の締まりなどもかなり得ることができ、こういう点でもプラチナに似ている。そしてプラチナでは全く選択肢がないがKallitypeは調色ができ、いくつかのトーナーでプリントの色を変えることとができるのが始めた理由であった。

7×17のカメラを買ったころにkallitypeのプリントを試し始めた。ちょうどその頃はパイロ現像液も使い始めたころで、ネガの調子などのことが分かっていなく、コントラストばらつきがあるプリントしかできなかった。そして選んだ紙に問題があり薬品が抜けないという事が解決しなかった。その後プラチナを始めて薬品がどのように働いているか理解したので、プラチナの問題解決ができればKallitypeの問題解決もできるはずである。

今回の紙はプラチナでもよく使うArchesのPlatineで、紙の相性の問題はないだろう。前回はSandy Kingがサイトで紹介しているStonehengeという版画の紙を使ったが、どうも相性が合わなく、薬品が抜けないという問題が解消しなかった。プラチナに使える紙であれば問題なく使えるはずだ。

写真を見てくれると分かるが、このプロセスをしていると各過程で色の変化が見れるのがとても楽しい。最初に露光したプリントを見ると蛍光黄色の感光材の中にうっすらと茶色の像が浮き上がってくる。周りは完全に茶色のボーダーができていて一見不釣り合いに見えるが、よく見てみるととてもきれいなものがある。現像液に入れると一瞬にして茶色になり、この茶色も少し外れた色だが見ていて楽しい。今回はパラジウムでトーニングをしているが、トーニングが進むに連れて茶色い色が抜けていき少し暖かさが残ったニュートラルな色になっていく。

今回プリントしたのは8×10のポートレートが2枚、そして7×17で撮った風景の写真。Olgaを部屋のこぼれ日の下で撮ったものと先週一緒に撮影に行ったJeriをクリスマスツリー畑で撮ったものだ。その時にSouth Jerseyにある湿地帯が広がっている所で撮影した7×17の風景もプリントをしてみる。

特に複雑なプロセスではないが、最初にやるプロセスとしては結構手順が多いので難しいと感じられると思う。手順が増え、薬品が増えるとどうしてもcontaminationの可能性が高くなる。プラチナなどの比較的簡単なプロセスを試し、要領を得てから挑戦するとよいかもしれない。

この夏は手伝いにきているインターンとこのプロセスでプリントを沢山作りたい。

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Written by tsuyoshi

7月 5th, 2009 at 10:11 am

Outreach Programのサイトの準備

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週末に一つサイトの準備をする。

先月から少しずつ用意をしているOutreach Program用のサイトである。このプログラムを通じて地域の子供達に無料で写真を教えるという試みである。前々からやりたいと思っていたがなかなか準備ができずここまできてしまった。さすがにこのようなことをするにはもっと人も必要になるのでここまで手が着かなかったこともある。

アメリカではこのように写真を無料で教えている団体が各地にあり、地域の住民達のアート教育に貢献している。もちろんアートなどというものにはかけ離れている所でもこのような試みが行われている。子供達に放課後の活動に参加をさせて問題に引き込まれない様にするというのも大きな狙いであろう。

サイトを用意するといってもこの辺は全てWordpressというブログのソフトを使い、デザインなどは既にある物を流用しているので、要領さえ分かっていればそんなに時間がかかるものでもない。ただどうしても既にあるテンプレートなどを使うとどうしても手が届かない所が実際に出てきて、その辺りを変更していくのがとても時間がかかる。実際にどのように作られているかという仕組みを理解した上で、色やフォントなど細かい所を変えていく。

そして何より時間がかかるのは文章である。一番最初に今回このようなプログラムを始めた経緯を書いたのだが、実際に自分が言いたい事を明確書くのに何度も書き直しをする。文を書く時は主なアイデアはなるだけ自分で文章にして、ある程度できたらクリスタに見てもらう。言い回しや表現など、どうしてもネイティブの人に見てもらう必要がある。そして大体の言いたい事が伝わっているかどうかを確認して、もう一度文章を書き直す。全てを書き直す訳でもないが、一度書いた文章を書き直すのは今でもつらい。この様に何回か行き来をし文章ができていく。

大学で何を学んだかと聞かれたら僕は文を明確に書く事を学んだと口癖の様に言う。自分で分かる様に書く努力をすると、自分がいかに分かっていないのかという事が明らかになる。自分の考えを一つ一つなでる様に書くのは自分の考えをまとめるという事でもいい勉強になると思う。文章を書く時はいかに明確に、そして相手に分かりやすい様にというのが頭から離れられない。

Tedで見たベネゼーラでクラシック音楽を教えているプログラムがとても印象に残っている。今まで、時間がないと思っていた事だが、今やらなかったらいつやるのかという思う様になった。今回もボランティアを募ってのプログラムである。教える人から、後ろで環境を整える人まですべてがボランティア。7月の頭から始まり、早速カメラやフィルムの調達を来週からしなければならない。後一ヶ月でこのプロジェクトもある程度の形になっているのだろう。

Written by tsuyoshi

5月 31st, 2009 at 7:14 pm

NYでの再会

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美香さんが帰った後、2週間も経たないうちにクボさんがNYに訪れる。

今回はいろいろと東北部にある美術館巡りプリントを見るのが大きな目的である。今週はフィラデルフィア美術館,来週はRochesterまで出向き、George Eastman Houseなどを巡る予定。時間があれば途中の町にあるシラキュースにあるLight Workなどにも寄りたいと考えている。最後の週はDCに行きLibrary of CongressNational Archivesでキュレーターがプリントを見せることになっている。大体の段取りなどはとってあり、後は細かい所を調整していくだけである。今回は運良くキュレーターなどとの予定も合い、ほとんどのやろうとしていた予定がこなせそうである。

その中でAndrea Modicaのオープニングがあったり,彼女のプリント作業風景などを見に行ったり、前回久保さんが気に入った地元の写真家Richard Kaganにもインタビューの為にスタジオに訪れるなど、こちらの人達との交流も混ぜている。Andreaのオープニングの後、彼女のアパートで行われる小さなパーティーによばれていて、Gallery 339のオーナーのMartinも来るようである。前回菅原さんがMartinに見せたプリントを作ったプリンターとして久保さんを紹介できる。

今回このように動き回っているのも,久保さんと一緒に始めようとしているサイトの為である。オルタナビトという名前のサイトで日本語で写真のプロセスの情報を発信していこうというのが目的である。実際に歴史的なプリントを見たり実際に活動している作家と会ったりとプリントとプロセスにまつわる話題を二人で紹介していく予定である。前回見て回った物もあるが今回は美術館の裏側に入って歴史的に貴重な写真を見せてもらえるので、紹介する価値があるのではないかと思う。このサイトを通して昔に使われていたプロセスなどが今の作家作品などを通して、日本の人にも身近に感じてもらえる様になればと思っている。

後は今週末の行うRon ReederのデジタルネガのワークショップMark Ostermanとのプライベートレッスン、そして二人で実際にプリントなどを作ることも予定に入れている。プラチナやガム、そしてWet Collodionなどで一緒にプリントを作りいろいろ試してみようという物である。昨日は画材屋さんに紙を買いにいったりと少しずつ準備している。うまく行けば作業様子のビデオなどを撮れないかとも考えている。

今回も盛りだくさんの滞在になりそうだ。

World Wide Wet Plate Dayとティンタイプ撮影

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今日は朝からティンタイプで写真を撮る。

5月2日はWorld Wide Wet Plate Dayで,世界各地でcollodion processを使って写真をとろうというイベントである。ウェットプレートのワークショップを教えてに来たKerikがこのイベントについて話していたのを思い出し、サイトを見つけ出したのが昨日であった。急ではあるがこれはと思い,ワークショップの薬品の残りを使い,いくつかのイメージを撮ってみる。

朝から小雨が降っている。スタジオから見える風景を教会を混ぜ撮る事にする。Gustave Le Greyの様なドラマチックな雲ではないが,空の雲の質感を残して撮りたかったので,露出を切る詰めながら撮影をしていった。コントラストが高いためどちらかと言ったら空に露出を合わせ,教会の方をアンダーにして,バランスをとるようにする。

教会を中心にして空の割合を増やし構図を決める。この構図で7−8枚露出をかえ撮影した。露出計を使っている訳ではないので,何回もかかったが最終的には気に入った物が撮れる。

撮影中に思ったのだがグラデーションのあるNDフィルターなどを使えば役に立つのではないか?この方法はblue sensitiveなwet plateで空と組み合わせて撮る時にいい方法かもしれない。そして興味があるのは他のフィルターなどを使ったらどうなるのだろうか?この辺は次回にでも試してみよう。

もう一つのカットは折り紙を撮る事にする。前に白い紙で鶴を作り,白いバックで撮影したことがあった。その時はプラリナプリントを作る為の撮影だったが今回は同じ鶴を黒いバックで撮る。湿版はあまりハイライトの描写が得意でない様に思う。

スタジオで蛍光灯のライトを使い簡単なセットを作る。前回ワークショップで使った時は15秒位の露出であったが,今回はジャバラも相当伸びているので3ストップ位多めに露光してみると結構いい具合に写っている。それから鶴の向きを少しづつ変えながら何枚か撮ると気に入った物が出来上がった。

一日中暗室とカメラを何回も往復した。夕方に友達からバーへの誘いの電話がかかって来た時には両手の指が真っ黒になっていた。

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