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社会科見学
日本に着いてから早速ミカさんと一緒に出版社や出版に関係している人に立て続けに会う。
いろいろな立場の人から話を聞き日本での写真集出版の事情をリサーチするのが目的である。具体的な数字、ビジネスの内容や何を考えているのか、そして僕たちがどのようなことができるのか、などということをざっくばらんに話す。感触としてはどこも肯定的で協力してくれるようであった。
そんな事を二人で4日ほど行った後、月曜日には久保さんも引き連れて京都の便利堂に向かう。便利堂の鈴木さんには前々から久保さんとミカさんとで訪れる予定を伝えておいた。そこにミカさんの紹介で奈良でギャラリーを営んでいる野村さんと京都の大学で勉強している山下さんとが合流する。
お昼を食べて便利堂に訪れた時には2時で、それから山本さん達が行う工房の説明などを兼ね3時間位お邪魔をする。来る度に便利堂の技術そしてそれに対しての誇りなどに感心させられる。いろんな過程がありそれぞれの部門で働いている人と話すと、自分のやっている事に誇りを持っていることがすぐわかる。
その後、時差ぼけの睡魔に襲われながらも鈴木さんと山本さん達と一緒にお酒を飲み、技術的なことや、どのようにしてCollotypeの存在をもっと知ってもらうかという事を延々と話す。席での山本さんがCollotypeについて語っている顔が忘れられない。これだけ自分のやっている仕事を熱心に語れるという事ができる人が今の社会にどれくらいいるのだろうか?
鈴木さんには来年の3月に行われるAIPADの見学を兼ねてアメリカに来てほしいと誘い、山本さんには5月に行われるデジタルネガのワークショップに誘いをかける。このような機会で便利堂も学べる事は沢山あり、そして僕が協力できることもある。
その次の日には大阪にでてThird Gallery Ayaの綾さんを3人で訪れる。綾さんとはNYのICPで行われたオープニングで一度お会いしている。綾さんの所では前ミカさんが紹介してくれた日下部さんの作品を見せてもらう。サイトでしか見た事なかったが実際に見てみるとますますフィラデルフィアに持って来れないかと思う。近いうちに実現したい。
このように写真を通してアメリカと日本の間のこの距離を縮められないか?人、技術、物、そしてアイデアの行き来をもっと活発にできないかということをいつからかよく考えるようになった。そこにはどちらの世界も、言葉や文化の違いを障害とせず自由に行き来できる僕の役割がでてくる。そしてこれがミカさんと行おうとしているビジネスのコンセプトでもある。
新大阪の駅で久保さんとビールを飲みながら少し個人的な事まで話をする。今回は久保さんと過ごせる時間が沢山あり、仕事の事だけではない話をする余裕も出てきた。
そして久保さんと別れた後一路九州へ向かう。
一路、西へ
金沢から帰ってきてあまり休む間もなく今度は九州に向かう。
午後は京都で下車をし便利堂で鈴木さんをはじめコロタイプ印刷に関わっているスッタフに会う。スタジオを見学させてもらい技術的なことやこれからの企画でできそうな事をいろいろと話す。なんだかんだ言って3時間ぐらい長居をしてきた。
やはり便利堂の持っている技術の高さを実感する。みんなが職人としてやっている事に誇りを持って一生懸命に仕事をしているのには感心させられた。そしてここは本当に何から何までがアナログである。この時代ここまでアナログで大掛かりにできる所がすごいと思った。
そして便利堂は技術的にもいろいろ新しい方法を模索してコロタイプ印刷の新たな可能性にも挑戦している。技術の山本さんと話した事にカラーでのグラデーションの話があった。はやり写真を印刷する以上この問題は技術的に重要な点である。
そしてコンセプト的に重要な問題点もある。春にレクチャーに来てくれたJames Hajiackさんも言っていたがコロタイプは繊細な描写ができるが為に犠牲になった技法であるということを常に言っていた。とてもきれいに描写ができるが為にどうしても「高級印刷された複製」ということを逃れられなくなってしまう。
ここがフォトグラビュアーなどと差ができる所だろう。フォトグラビュアーなどは版画としての独自の良さという所から評価され利用されている。つまり元々印画紙でできている作品をフォトグラビュアーで複製を作ろうなどという考えは全く起こらない。グラビュアーでしかできない作品を作ろうというのがそもそもの狙いであるからだ。
そこがこれからコロタイプを使い写真を作っていく上で重要な課題になる。これは技術の山本さんも認識していることでありこれからの応用方法を考えていく人も作品のコンセプトとして必ず取り組むことになるだろう。これから答えを模索していく事になる。その為にJames Hajiackさんのところにコロタイプを学びに行こうと再度考えた。



